吉村泰典氏
吉村泰典

1975年慶應義塾大学医学部卒。1995年同大学医学部産婦人科教授。
日本における不妊治療の第一人者。2013年3月から内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)。
日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長、日本産科婦人科内視鏡学会理事長など、数々の学会の役職を歴任。

バギーカー専用車両を!

やっぱりね、女性が言った方がメッセージは通りやすいですよ。僕たちが、同じことを言ってもね。逆差別を受けているような感じはありますね。たとえば女性専用列車あるじゃないですか。あれもおかしいと思うんですよ。そりゃ確かにね、今日痴漢が多いからそれも必要だよね。でも、バギーカーを乗せるような一台にしたらいいと思うんですよ。女性に対して優しくてもいいけど、バギーカーも1両くらいね、いいと思うんだけど。

―――(司)女性専用車に乗ってない女は痴漢してもいいって言うバカもいますよね。

ピルの問題と一緒でしょ。笑

―――(司)私も実は女性専用車両なんていらないと思っていて。通勤ラッシュに電車にあまり乗らないから、というのもあるけど、痴漢なんかしなきゃいいわけだから。だったらバギーカー専用の方がよっぽどいい。

―――(吉田)専用車に乗ると若い女性が「大丈夫、おばちゃん誰にも触られないから」っていう目で見る。触られる人が逃げてくる電車ではなく私も女だから乗せてよっていう・・・笑。

―――(司)満員電車でバギーカーなんて無理。まれに社内に託児所がある企業もあるけど、会社まで行くのが大変なんだよ!!っていう。

そうなんだよ!それがね、一番大きな問題だと思うんだよね。
会社に託児所作っても、丸の内までどうやって連れてこいっていうんだっていう。

―――(吉田)せめて最寄りの駅に作ってほしい。

―――(司)バギーカー専用車両があったら行けますよね。

行けますね。しかも、渋谷駅みたいな、あんな不便なところないですよ。ずーっとまわっていかないとバギーカー押していけないんですからね。やっぱり駅も考えなくちゃいけないですよ。
僕は足を骨折したときにね、ひとりで一週間後から動いたんですね、そうなると、東京駅が最悪だったんです。階段を使わないとダメなんですよ。エレベーターで行こうとすると、ものすごく遠くまで歩いて行かなくちゃいけないとかね。日本はそういうところまで考えなくちゃいけないんです。
やっぱりね、女性に優しく。

最近嬉しいなと思うのは、地下鉄なんかでも、バギーカーをひいている女性をたくさん見るようになりましたよね。これはどんどん社会に出ていってほしいと思いますね。
少子化という問題は、社会の問題をすべて、防衛以外の問題をすべて含んでいるんです。だから、女性に優しい社会、女性を考える、女性の健康の包括的支援ということ、そういうことは、大事な問題として取り上げていくべきです。それが少子化にとっても役立つということをね、みんなが認識をすべきで。これが日本の一番の喫緊の課題であると思います。
女性を大切にする、ということが日本の喫緊の課題であるということを、メッセージとして訴えないとダメですね。

―――(吉田)輝け、働け、産め、自己実現しろ、って忙しいわ。

それは違うよね。

―――(吉田)そこまで言うならサポートしろよ、って。

そうね。女性がこれまで活躍してこられなかったっていうのはね、これまではね、スーパーウーマンしか出てきてないんですよ。子供を産んで1ヶ月後にもう仕事をしたりとかね。
スーパーウーマンじゃなくて、誰でも、すぐ身近にロールモデルがあるような職場環境を作っていかないと、なかなか一人で頑張れといっても難しいんじゃないかなと思いますけどね。
やっぱり女性が輝けなければ日本の未来はないですよ。