吉村泰典氏
吉村泰典

1975年慶應義塾大学医学部卒。1995年同大学医学部産婦人科教授。
日本における不妊治療の第一人者。2013年3月から内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)。
日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長、日本産科婦人科内視鏡学会理事長など、数々の学会の役職を歴任。

社会と企業と男性の意識改革を!

日本では「女性がキャリア形成して社会進出したから少子化になった」というふうに言う人が多いのですが、これは日本のみでいえることです。
欧米では、女性の労働力率が高いほど、出生率が高い。
先進国における女子労働力率と出生率のグラフ
これは、働きながら子供を産めるような環境を日本は準備してないという証左であって、女性が社会進出したから出生率が低くなったということは、海外では当てはまらないんです。

―――もちろん片親よりも両親がいてきちんと子供が育つ環境がベストだと思いますが、産む側からすると、結婚したい人はすればいいし、子供生みたければいつでも産めるような社会のバックアップがあるのが理想です。

女性にしか子供は産めないんですから。男性には産む能力ないんだから。女性に産んでいただかないことには、日本という国を支えていくことができなくなります。女性が働きやすい環境を考えるという事が男性にとっても大切だっていうことを、男性が認識しないといけないですよね。
社会と企業と男性の意識改革が必要。制度はだいぶ良くなってきていますよ。育児休暇もとれるようになったし、ある意味では経済的な面に関してもある程度、十分ではないけれど、支援は少しずつ行われている。
今、ようやく企業が変わりつつある。やはりこのままにしておくと労働力人口が減ってしまうということを、企業は考えざるを得ないですよね。女性にも働いてもらえるようなことを、企業が考えないと、企業自体が成り立って行かないということを知りだしたわけですよね。
ところが社会も男性も全くそういうことを考えていない。意識が全然変わっていないですよね。
まあね、全面禁煙に反対する人なんかみてるとわかるでしょ。ああいうのが男性なんですよね。変わらないのですよ。笑。